そもそもなぜ「つくし」なのか、の謎に迫ります。
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1875年7月31日〜1962年8月8日。日本各地の習俗(その土地で昔から行われている事柄や生活様式)に関心を持ち、狩人の伝承を記した「後狩詞記」(1909年)や、岩手県の遠野に伝わる説話をまとめた「遠野物語」(1912年)などを発表。“日本民俗学(※)の祖”として知られています。兵庫県出身で、東京帝国大学法科大学政治科卒業後、農商務省に入省。法制局、宮内省を経て、1919年の退官まで貴族院書記官長を務めたというキャリアも持っていました。
※民俗学=古くから伝わる伝説・習俗を調べることで、庶民の生活文化の発生と変遷を明らかにしようとする学問。
日本民俗学の父・柳田國男は、日本全国で調査したつくしの語源を、さまざまなアプローチで独自に解釈しています。
まず最初はコトバの転用を起源とする説です。柳田はつくしという単語の由来を、「澪標(ミオツクシ※)のツクシであって、突っ立った棒を意味する」と推定しています。
これは、「関東以北においては特に設けられたる境の表示のみならず、天然の生木にもツクシの名を与え、さらに進んではやや尖ったる山の峰の、特に目標となるものを大ツクシ小ツクシなどという例が多い」という指摘からもわかるように、つくしと澪標の形状が似ていたために、コトバが転用されるようになったのではないか、という推測です。
※澪標:(「澪(みお)つ串(くし)」で、「つ」は助詞「の」の意)澪にくいを並べて立て、船が往来するときの目印にするもの。和歌では「身を尽くし」にかけて用いることが多い。みおぎ。みおぐい。みおじるし。
続いて柳田は、つくしを使った子どもの遊びに注目。「小児が土筆を袴の部分から二つに折って、そっと元の通りに播しておいて、どこで続(つ)いだのかをあてさせる遊戯は、古いとみえてほとんど全国に行われている」とコトバの転用説を補強しています。
つまり、澪標との相似から発生したつくしという単語に、さらに「続(つ)ぐ(=接ぐ)」という趣旨が添加されたという考え方です。 「続ぐ」が転じて訛ったと思われるつくしの方言分布を、柳田は次のようにまとめています。
ヅクヅク
津軽・陸中釜石・陸前気仙沼
ツギノコ
陸中平泉
ヅギグサ
仙台付近
ヅギナンボ
野州付近
ツゲノコ
下総猿島郡
ツツンギノコ
上野邑楽郡
ツギツギ
越後柏崎辺
ドコドコ
越後西頚城郡
モトモト
越中某地
ドコドコグサ
加賀能美郡
ツギツギグサ
紀州那賀郡
ツギマツ
土佐
加賀の方言「ドコドコグサ」は、「どこどこ続いだ どこ続いだ あたまの天井まで皆ついだ」というつくしのわらべ唄に由来するもの、と柳田は指摘しています。
〔出典〕
「新編 柳田國男集 第十一巻」 柳田國男 (筑摩書房 1979年3月25日初版第一刷)
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